トップページ

1.幻のイワナを求めて|2.ロシアへ・カムチャッカの想い|3.日本のイワナたち

2ロシアへ・カムチャッカの想い

『アメマス・イワナについて』

日本海からオホーツク海に至る地域で誕生したと考えられる、イワナの故郷を探訪しながら、その仲間たちを釣ることが目的だ。日本のイワナはホッキョクイワナ、オショロコマの北方系イワナ属に日本のアメマス・イワナは含まれている。ロシア・カムチャツカ半島が日本産イワナの北限地、このイワナたちがどのような生活パターンを行っているのか、更に、北の大地には多種多様の渓流魚が棲息している、世界のイワナ属の本場であることが物の本で示されているので、イワナ研究者にとって興味津々である。
ロシアではアメマスをクンジャと呼んでいる。この東洋イワナはカムチャツカ全流域の河川及び沿海州に注ぐ川にいる。正確には川を海から遡ってくる。

筆者は80のを3匹釣ったし、90のを他人が釣ったのを見た。一夏頑張れば一級のが、また、一生ものとしては、120~30のが釣れるであろう。」・・・「勿論、遡上期を外すと釣果は全く期待できない。」(本文より)カムチャツカではオショロコマ、アメマス、イシイワナを釣った。
氏の発表は日本のイワナしか知らぬ私にとって、強烈なイワナ残影を脳裏に刻むことができた。それは、カムチャツカ東面から流下する河川に、巨大魚が遡上することを意味している。
誰が何といっても、カムチャツカはイワナ属魚類の宝庫だ。しかし、町野陽一氏の実釣行で明らかになった、目的の魚がいつ遡上するのか???
最大の難関はこの問題にかかっている。

『夢のまた夢-ロシア釣行』

「ロシア・カムチャツカでイワナを釣ってみませんか」
NHKサイドから取材依頼があったのは2002年2月。岩魚の神様が与えてくれた夢のプランに諸手を上げて同意する。
日本国中にまたがるイワナ止滝を見たい。こう想いながら各地を巡行。長い長く続いた旅のところどころで、「チャンス到来、即、日本脱出」「国外でのイワナの生態は如何なるものか?」一応、イワナ研究者の端くれではあるけれど、海外釣行を考えていた。
何よりだったのは日本国内での魚止探訪の目安がつき、埼玉県から栃木県へ転居したこともあり、2002年度におけるイワナ釣行のすべてをロシア行に賭けてみることにした。
カムチャツカ釣行における意義は大きい。
最大のポイントは日本イワナが世界分布域北限に当たるからで、天然河川状態での産卵、稚魚誕生その後における生態に興味がある。果たして成長中における変態(ギンケ)、つまり降海型イワナになるのか、それとも一部は河川型イワナになるのか。この謎を解き明かしたい。
また、アメマスの回遊パターンはどのようにおこなわれているのか。世界にはオショロコマのグループ、ホッキョクイワナのグループがいて、ロシアには世界中のイワナ属の仲間が目白押しである。渓流には、河川型イワナの仲間がどのように暮らしているのか。それらも見たい。
夢の実現はまもなく始まる。

『秘境カムチャツカ』
クジラが海に突き出たカムチャツカ半島ゆえに、オホーツク海側から低気圧、高気圧が発生し、半島の山々にぶつかる。また、ベーリング海、太平洋からも前線が発達するから、天候は不安定。けれども、気圧配置が整えさえすれば天気は安定する。
冬、12月の気温は-57度~-5度。夏、7月の気温は10度~37度。温度差が激しいのは低気圧が生まれやすく、カムチャツカ半島が南北に細長くあり、4700メートルクラスの高山があるからだろう。
日本にも「火の国」九州がある。それを遥かにしのぐスケールでせまるユーラシア最大の活火山、ユリュック火山4750メートルを筆頭に、38カ所の活火山存在し、カムチャツカ半島を北から南へ連なるスレジンヌイ山脈、東側にはボストチヌイ山脈が海岸末端まで迫り出ている。この山々はカムチャツカの屋根そのもので、3000~2000メートル級の連山を構成している。
1996年、カムチャツカ活火山群の一部は世界遺産に登録され、高山の頂きから氷河が生まれ、火の国らしからぬ冷たいコントラストは忘れがたい見事な自然であり、世界中から注目されている。また、火山国ゆえに温泉が各地に点在し、素朴な露天風呂がある。
「火の国」は同時に「水の国」でもあることが理解できる。カムチャツカには14000余の河川があり、全長760キロメートルのカムチャツカ川が南から北へ縦断している。山上から山麓にかけて無数の湖沼が今もつくられている。天然の川だから天変地異で簡単にできあがる。
川と湖沼は淡水だから、母川回帰現象で渓流魚たちは大群となって遡上するに間違いない。
豊かなる大自然に野生の王者、ジャイアントベアが半島全体に20000頭いる。最大1000キログラムの体重。背丈は3メートル。奴らは海から遡るサケ、マスがめあてだ。
カムチャツカの植物に注目すれば、シラカバ、ダケカンバ、ケショウヤナギ、高山ではカラマツ、エゾマツが自生している。


『人と生活』

白系ロシア人が人口の大半を占めている。彼らは「ダーチャ」と呼んでいる、約300坪ほどの農耕地に小麦、ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、キュウリ、トマトなどを育て、ほぼ自給自足の生活。
州都ペトロハバロスク街中にはバラック小屋がところ狭しながらも、ビッシリと立ち並ぶ自由市場が大盛況。電器製品から食料品,、生活必需品はなんでも買うことができる。特に、サケ、マスの燻製を筆頭に海産物がお買い得である。
トナカイの放牧、クマ猟、サケ漁などで生計を賄った先住民族が少数派であるけれども、各地方の町にんでいる。
エッソ、アナブガイという小さな村に、エベン族が集団でいる。彼らは生粋の狩猟民族だったが、ペレストロイカ以降さまざま狩猟対象が観光化されてしまい、伝統的な獲物を大自然に求める野生生活は一部の人たちでしか行われていない。

『カムチャツカへのアプローチ』

パスポート
ビザ
釣り許可書
ロシア入国はウラジオストック経由ペトロハバロスク

3.日本のイワナたち

トップページ